駅の構内や商業施設などでよく見かけるポップアップストア。一般的な店舗とは違い期間限定で出店される特徴があります。本記事では、ポップアップストアとは何かについて詳しく紹介していきます。ポップアップストアを出店する目的やメリット、注意点についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそもポップアップストアとは
人によってはそもそもポップアップストアが何かよくわかっていない方もいるかと思います。そこでまずは、ポップアップストアとは何かについて解説します。ポップアップストアとは
ポップアップストアとは、駅の構内や商業施設のような人の集まる場所の一区画で、一定期間限定出店される店舗や販売スペースのことです。ある日突然出現し、一定期間が過ぎると、また突然消えることからポップアップストアと呼ばれています。一般的な店舗と異なり、常設ではなく最初から短期間だけの出店と決まっていることが大きな特徴です。
主な出店場所
主な出店場所としては、人の流れが多く話題性や集客が期待できる場所に出店されることが一般的です。代表的な出店場所としては、商業施設内や大型のショッピングモール内、大型の駅構内などが挙げられます。出店する目的や狙っているターゲット層に合わせて最適な場所に出店することが重要です。
ポップアップストアを出店する目的
一般的な店舗と異なり、一定の期間でなくなるポップアップストアに対して、出店目的がわからないと感じる方もいるかと思います。そこでここでは、出店する目的についてまとめて紹介します。認知度の向上
最も代表的な出店目的は、認知度の向上です。ポップアップストアは、一般的な常設型の店舗と違い、希少性やイベント性に優れているため、SNSを始めとしたメディアでの拡散に期待が持てます。また、商業施設や駅構内のように人通りの多い場所に出店すれば、ポップアップストアの存在を認知していなかった人にも、存在を気が付いてもらえる可能性があります。
特定のターゲット層が決まっているのであれば、狙っているターゲット層が集まる場所に出店することで、ブランドや商品を一切知らない層にまで認知を広げることが可能です。
店舗出店前のテスト
ポップアップストアは、一般的な常設型の店舗を出店する前にテストとして、出店されることもあります。店舗出店前のテストとして出店する場合は、このエリアに常設型の店舗を出店しても売上の見込みがあるのか、集客は可能なのか、どのような製品が売れるのかなどのデータを集めることが目的になります。ポップアップストアは一般的な店舗と異なり、低コストで出店が可能なため、テスト目的での出店にも最適です。
売上向上
ポップアップストアは、売上の向上を目的に出店されるケースも少なくありません。集客が見込める場所への出店や限定商品の販売、一定額以上購入することで限定の記念品がもらえるなど、ポップアップストアならではの特別感を活かした販促戦略を行うことで、売上の向上に期待が持てます。売上の向上を図りたいけれど、出店に合わせて限定の品物を用意することが困難な場合には、商品ではなくストア自体に足を運ぶ価値を持たせると良いでしょう。ブランドの見込み顧客が実際に自分の目で見たいと感じるような品を展示するだけでも、売上の向上効果は期待できます。
ポップアップストアを出店するメリット
出店するメリットとしては、低コストで出店できることや拡散されやすいこと、直接顧客の反応を確認できることなどがあります。ここでは、出店するメリットをまとめて紹介します。低コストで出店できる
ポップアップストアには、一般的な常設型の店舗を出店する場合と比較して低コストで出店できるというメリットがあります。人件費やテナント料など常設型の店舗であればかかるコストを大きく節約できるので、低コストで出店したい方やリスクを抑えて出店したい方に適しています。また、低コストで気軽に出店できることから、常設型の店舗を出店する前のテストとして使用されるケースも珍しくありません。
拡散されやすい
期間限定という特別感からSNSなどで拡散されやすい、注目を集めやすいというメリットもあります。限定商品や店内のデザインに力を入れれば、店舗を利用した顧客が自発的にSNSへ投稿をしてくれる可能性があり、SNSで拡散されれば自然な形でのプロモーションやマーケティングに期待が持てます。拡散を狙って出店するのであれば、什器選びにこだわって世界観を演出できるような空間を作りあげることが大切です。
直接顧客の反応を確認できる
店舗として出店することで、直接顧客の反応を確認できることも大きなメリットとして挙げられます。オンライン販売では、購入履歴やレビューなどのデータは得られても、実際に商品を手に取った瞬間の表情や、スタッフとの会話の中で生まれる率直な意見を把握することは難しいものです。しかしポップアップストアであれば、来店者が商品を見て、触れて、試して、購入に至るまでの流れを間近で観察できるため、商品やサービスに対する評価を肌で感じられます。例えば「この色は思ったより落ち着いている」「サイズ感がちょうどいい」「パッケージがかわいい」など、細かなニュアンスを含んだフィードバックが得られるのは、対面ならではの強みといえるでしょう。
また、スタッフが直接ヒアリングすることで、顧客の潜在的なニーズや改善点を発見するチャンスにもなります。こうした情報は、今後の商品開発やサービス改善、マーケティング戦略に活かすことができ、ブランドの成長にとって非常に価値のある財産となります。
さらに、顧客との距離が近いことで、ブランドへの親近感や信頼感が生まれやすく、リピーターやファンの獲得にもつなげることが可能です。単なる販売の場に留まらず、顧客との関係性を深めるコミュニケーションの場としても機能することが大きな魅力です。
コミュニティの形成
ポップアップストアは、地域や特定のコミュニティとの関係構築にも役立ちます。例えば開催地域出身のアーティストやクリエイターとコラボレーションすることで、地域のコミュニティと結びつきを深めることが期待できます。販売促進が可能
販売促進が可能というメリットもあります。ポップアップストアは、期間限定という特性上、一般的な常設型の店舗と違い、話題になりやすい傾向があります。SNSで拡散されれば、大きな売上の向上も期待できるでしょう。たとえ開催期間内に店頭まで足を運んでもらえなかったとしても、オンラインショップへ誘導することでオンラインの売上向上の可能性があります。
効果を測定しやすい
ポップアップストアは、一般的な常設店舗と異なり、期間限定で出店されるイベント性の高い販売形態です。そのため、SNSやWEBメディアで話題になりやすく、出店前後の反響を数値で比較・分析しやすいというメリットがあります。例えば出店前に行った告知投稿のインプレッション数やエンゲージメント率、出店期間中の来店者数、売上金額、SNSでの投稿件数、ハッシュタグの使用状況など、複数の指標をもとに効果を可視化することが可能です。
今回の出店がどれだけの成果を生んだのかを客観的に把握でき、次回以降の出店計画やマーケティング戦略に活かすための貴重なデータが得られます。また、ポップアップストアは短期間で終了するため、施策の効果が短期的に現れやすく、検証サイクルを早められるのも利点の1つとして挙げられます。
単なる販売の場ではなく、マーケティング施策の検証・改善に役立つ実験の場としても有効なことが大きな魅力です。
ポップアップストアを出店する際の注意点
次にポップアップストアを出店する際の注意点をまとめて紹介します。ポップアップストアは通常の店舗と違い、期間限定で出店されることから特別感があり利用者の購買意欲が向上する傾向があります。しかし、だからといって適当に出店しても必ず成功を収められるわけではありません。出店を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目的と目標の設定
ポップアップストアを出店する際は、目的と目標の設定に注意が必要です。ブランドや商品の認知向上が目的なのか、売上向上が目的なのか、顧客との接点作りが目的なのかによって、最適な出店場所やプロモーションの方法は大きく変わります。目標としては来店者数や売上金額、SNSでの反響などを設定しましょう。あらかじめ目標を設定しておくことで、出店期間終了後に効果を測定できます。
市場調査
出店時に市場調査を怠ると、設定した目標を達成できなかったり、思うような効果が得られなかったりする結果に繋がる恐れがあります。ポップアップストアの出店で失敗しないためには、しっかりと事前の市場調査に力を入れ、調査で得たデータを基に戦略を練ることが重要です。集客方法
店舗への集客方法としては、オンライン集客とオフライン集客の2つの方法があります。ストアを出店する目的や立地、ターゲット層によって適した集客方法は異なる点に注意が必要です。適当に集客の方法を決めてしまうと、来店者数の目標を達成できなかったり、売上目標を達成できなかったりする結果に繋がります。
什器選び
限られたスペースを最大限活用するためには、什器選びにも注意する必要があります。什器には、商品の魅力を引き立てるだけでなく、導線や視認性を向上させる効果があります。ブランドや商品に適した什器を選択することで、世界観を表現可能です。設営や撤収のしやすさも重要ですが、どのような内装にするのかに合わせて選択することも忘れてはいけません。
ポップアップストアを成功させるコツ
最後に、ポップアップストアを成功させるためのコツをまとめて紹介します。ポップアップストアは、一般的な常設型の店舗と違い、特別感があり注目を集めやすいことから売上の向上に期待を持つことが可能です。しかし期間限定という差別化だけで成功を収めることは難しく、出店目的を確実に達成するためには、あらかじめ成功のためのコツを押さえておく必要があります。
什器で世界観を演出する
ブランドイメージの向上や認知度の向上、SNSでの拡散などを狙ってポップアップストアを出店する時は、什器選びにこだわって世界観を演出することが大切です。ポップアップストアは一般的な常設型の店舗とは異なり、短期間で撤収しなければいけないことから、店舗の演出を簡略化することも可能です。しかし、ポップアップストアの利用者の多くは、商品を購入するだけでなく特別な体験を求めている傾向があり、ただ商品を陳列するだけのストアにすると、ブランドの印象を薄める可能性があります。
一時的な店舗だからこそ、空間の演出に力を入れ、直接足を運んでくれた顧客や店舗の前を偶然通りかかった人にブランドを印象付けられるような空間設計を採用することが重要です。
ポップアップストアの開催を知らずに店舗の前を偶然通りかかった人の興味を一瞬で引くためには、什器選びにこだわる必要があります。
目的にあった出店場所を選ぶ
成功させるためには、目的にあった出店場所を選ぶことが大切です。例えば中高生がメインターゲットのストアなのに、20代前後の若者が集まる商業施設内に出店すると、あらかじめ出店情報を把握していた層以外の顧客が見込めなくなります。偶然店頭を通りかかった人にもブランドや商品を印象付けられることがポップアップストアの強みのため、出店する際は必ず事前にリサーチを行い適した場所を選択することが大切です。
購入に繋げる仕組みを採用する
売上の向上を目的として出店する場合は、購入につなげる仕組みをあらかじめ考えておくことが重要です。例えば多くのポップアップストアで採用されている方法としては、限定商品の販売や商品の先行販売、一定額以上の購入で記念品の贈呈、クーポンの配布などがあります。期間限定という特性から注目を集めやすいですが、売上の向上を図るにはあらかじめ対策をとることが大切です。